負動産となった空家を早急に、とにかく手放したいと思う方へ

狭い国土の日本においては、どのような不動産にも価値はあるものという考えはこれまで広く浸透していました。

特にバブルのころは「土地神話」という言葉もあったように、不動産は値上がりして当然のものだという考えに慣れ親しんだ世代もあり、その後のバブル崩壊後の世代においても不動産は価格が下がることはあっても、やはりそれなりの価値・値段は見込めるものだという認識を持った方も多いと思います。

ところが、最近では一部の不動産について価値が全くなく、売却したくても全く買手が現れず、賃貸に貸そうとしても全く借手が現れず、所有者が維持管理するだけの費用を垂れ流しにするという意味でゼロの価値、またはマイナスの価値しか見こめないという物件があらわれ、それらは一般的に「負」動産と呼ばれるようになり、この負動産という言葉も市民権を得つつある傾向にあります。

もしあなたが所有している不動産が、実際には負動産だった場合、どのような対応策が可能なものか?いろいろと検討をされることと思います。

負動産を所有するに至るケース

価値が無くなり、売るに売れなくなるような負動産を積極的に取得するということは一般的に考えて誰しも避けたいと考えるものではないでしょうか?

それでも実際問題として負不動産を所有するに至るようなケースにはどのようなものがあるのでしょうか。

負動産を所有するに至るケース

  • 空家となり、建物の老朽化がすすんだ実家を相続したもの
  • 田畑だった土地で今は耕作をしなくなったもの(耕作放棄地)
  • 別荘地で対象地や周辺環境が荒廃したもの
  • 所有する山林で手入れが行き届かず荒廃した山林となったもの
  • 原野の状態で購入したものの、その後開発が行われず原野のまま荒廃してしまったもの

負動産を所有してしまうことになるケースには凡そ上記のようなパターンがありますが、もしこれらに該当するような物件で、売却活動をしても買手が現れないといったような場合には、通常の不動産の売却とは少し考え方を変えて、なるべく早く処分・手放すための方法を模索していくことが必要になります。

負動産を処分・手放す方法とは?

売却

通常の売却プロセスではなかなか買手が合わられないような物件については、正直、売却方法はかなり限定されたものとなりますが、以下のような相手に対してアプローチをしてないようであれば、一考に値するかもしれません。

考えられるアプローチ先

  • 隣地の所有者
  • 他の共有持ち分者

これらの人々は売却したい不動産について、思っていもいない着眼点で価値を見出していたりする方もいたりします。従って、価格は必ずしも売主の希望通りの水準とはならないかもしれませんが、売却したい不動産に「値段が付く」可能性はあります。

 

贈与(ゼロ円なら欲しいという人に譲り渡す)

値段がつかないことから、売買という取引形態をとらずに贈与という枠組みで第三者に譲り渡します。タダなら欲しいというような相手に対して譲り渡すことで流動性の低い不動産からの撤退(損切り)を実行するための取引となります。

ただし、売主にしてみると、不動産の対価としての譲渡代金がもらえないだけでなく、所有権移転の登記費用や取引に付随する費用を負担するといった条件に応じることが求められる場合もあり、それなりの覚悟が求められるものかもしれません。

 

自治体に寄付をする

自治体にとって活用のメリットがある不動産であれば、寄付をするということも可能です。売れなくなった不動産について、自治外に寄付することができるという情報もよく目にしますが、実際のところはかなりハードルが高いものとなっています。

一般の不動産取引市場において値段がつかない(=利用価値が認められない)不動産については自治体にとっても利用価値が見いだせない場合が多いというのが理由として挙げられます。

それに加えて、自治体が寄付を受けるとその分、自治体の重要な税収減となる固定資産税等が減少するため、必ずしも積極的に寄付を求めているという姿勢ではないことも、ハードルを上げている理由として挙げられます。

ただし、負動産を処分できる可能性のある方法であることには変わりはないので、役所にまずは相談をしてみるにも良いかもしれません。

 

相続放棄をする

負動産の処分・売却とは少し違いますが、そもそもとして負動産の所有者になるようなことを避けるという意味で、相続時において相続財産が負動産のマイナス面と他の資産におけるプラスとを総合的に勘案してマイナスの方が大きいという判断の場合には、相続を放棄するということも選択肢となり得ます。

後々において処分に困る負動産の所有者になることを避けるという意味において、相続財産の内容を吟味する際に、不動産の価値を正確に把握する(資産価値のある不動産なのか、それとも負動産なのか)をきちんと見分けておくことが重要になります。

 

専門の業者に買い取りまたは引き取ってもらう

最近では負動産の買取・引取りを専門にしている事業者も増えてきています。

専門的な知見を活かして、物件に付加価値をつけて再度市場に流通させるノウハウを持っている不動産会社による参入が徐々に増えているようです。

従って、一般の不動産流通市場において売却・処分が難しいようであれば、これらの専門事業者に相談するのはとても現実的な対応になるかと思われます。

ただ、通常の取引において値段・買手がつかないような物件においては買取りの場合でも価格は安く査定されることとなり、買取ではなく、所有者が当面の維持・管理費用の相当額をこれらの事業者に渡したうえで「引き取って」もらう、というような取引になることが多いようです。

イメージとしては、家具などの不用品を業者の方にお金を渡して引き取ってもらうといった取引に近いものとなります。

また、新たに参入が増えている業態でもあるので、取引を行うに際してはトラブルとならないように、十分に取引の内容・条件については吟味・理解して判断することが大切になります。

 

その他

上記以外にも、以下のような制度があります。

不動産放棄制度

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(略して「相続土地国庫帰属法」)が2021年4月に公布され、2023年4月までに施工される予定です。

市民緑地制度

民有地を、地域住民の利用に供する緑地として設置・管理する設置管理計画を作成し、市区町村長の認定を受ければ一定期間において固定資産税や都市計画税の軽減を受けられるというメリットがあり、もし認定を受けられれば負動産としてそのまま保有し続けるよりも費用負担を軽減することが実現できるかもしれません。

負動産を専門的に買取り(引取り)する不動産業者と上手に付き合うのが最短の方法!?

負動産を専門的に買い取る、または引き取る事業者が徐々に増えてきているものの、取引の形態・条件などは事業者により様々です。

そのため、複数の事業者とコンタクトをとり、比較検討し、一番納得のいく条件を提示される事業者と契約をするのが良いと思われます。

多くの事業者は一般の市場では価値が認められない不動産に対して独自の視点から価値を見出し、価値を再生、または流動性を持たせるノウハウを持っていることから、譲り渡した後にどのような利用を予定しているのかも含めて聞いてみると、その事業者の姿勢や専門性も確認でき、より安心して取引ができるようになるかと思います。

業者からの一方的なゴリ押し営業によるトラブルにも注意

一方で、まだまだ新しい分野であることから、中にはトラブルに発展するような事例もあるようです。

多くの場合は業者の方から積極的にアプローチし、単に物件を買い取るだけではなく抱き合わせの取引で逆に別の物件の購入も勧めてくるようなケースもあるようなので、同じ轍を踏まないようにそのような事例については一通り理解をしておくことをお勧めします。(参考として、具体的なトラブルの事例のリンクをつけておきます)

国民生活センター
国民生活センター

www.kokusen.go.jp

政府広報オンライン 原野商法
政府広報オンライン 原野商法

www.gov-online.go.jp

負動産をスムーズに手放すための準備で大事なこと

負動産を手放す方法について紹介してきましたが、いずれの方法であっても事前の準備はしっかりと行い、スムーズにプロセスを進めていきたいものですよね。

以下に、事前の準備として整理・確認しておくとよい項目をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。

事前の準備とし取り組みたいこと

  • 相続時に共有持ち分とするのを避ける
  • 本当に「負」動産なのか、一般の取引市場において価格がつくのか、つかないのか、客観的な視点で査定を行い、物件の価値を把握しておくこと
  • 物件の維持・管理に必要となる費用をできる限り正確に把握しておく
  • 物件の所在、範囲、境界をできる限り明示できるように資料の整理や昔からの事情を知る人から情報を収集、整理しておく

事前の準備として上記の項目だけで必ずしも十分とは限りませんが、必要に応じて専門家のサポートも受けながら、十分に準備をしておくことで少しでもスムーズに物件を手放すことが実現できるようになります。

弊社でお手伝いできること

一般の取引を念頭に置いた場合に、値段がつかないような物件や、なかなか買手が現れないような物件をできる限り早く処分・手放したいという方に対して、弊社でも以下のようなお手伝いをさせて頂いております。

基本的にはどのようにして売却または処分をすればよいのか、そのための方法や具体的なプロセスをご提案させていただき、その実現に向けて対応するものとなりますが、大きく分けて以下の2種類の観点からお手伝いをさせて頂いております。

本当に「負」動産なのかの査定

そもそもとして、本当に一般の取引を念頭に置いた場合に、あなたが所有する不動産に値段がつかないものなのか、弊社にて客観的に査定を行います。

また、ご要望に応じて、弊社による査定ではなく、提携する大手の不動産会社からの査定を取得することのサポートも可能です。

物件の売却プロセス一般でもいえることですが、まずは所有する物件の客観的な価値を把握することはとても大事なことであり、その目線を持ちながら買主候補と価格の交渉を行っていくことがとても大事になります。

買い取り業者との間の仲介等

一般の不動産の流通市場では買手を見つけるのが困難であると認められる場合には、負動産の買取・引取りの専門業者に対して売主様の立場に立って仲介を行う、またはコンサルティング業務の一環として当該業者様とのやり取りをサポートさせて頂きます。

対応エリア

九州エリア:

  • 北九州市
  • 福岡市

関東エリア:

  • 東京都(23区、三鷹市、武蔵野市)
  • 神奈川県(川崎市、横浜市)
  • 千葉県(市川市、浦安市、船橋市、習志野市、千葉市)

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よくある質問

御社に対する報酬体系はどのようになりますか?

査定のみの場合は、1物件あたりの金額をお見積りさせていただきます。また、売却の支援については、原則として、成約した場合に報酬をご請求させていただく成功報酬となります。報酬水準としては宅建業法に準ずるものとなりますが、物件の種類によっては宅建業法の規制の範囲外のものもありますので、その場合は別途予めお見積りにより金額をご説明させて頂き、事前に契約を交わさせていただきます。その他、実費として費用をご請求させていただく場合には、予め金額と根拠をご提示の上、ご納得いただいた場合に実費のご請求をさせて頂く場合があります。

御社に依頼すれば必ず物件を譲渡することができますか?

成約に向けて最善を尽くしますが、残念ながら確約をするものではありません。